総合型選抜と聞くと、「面接で人物や意欲を評価される入試」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。実際、総合型選抜の多くは面接を課しています。面接に苦手意識がある方や、一般選抜の対策と並行して面接の準備まで抱える余裕がない方にとって、これは大きなハードルになります。

実は、早稲田・慶應の総合型選抜の中には、面接そのものが課されない入試が存在します。この記事では、早稲田大学の地域探究・貢献入試、国際教養学部AO入試(4月・国内選考)、慶應義塾大学の文学部自主応募制推薦入試という、面接なしで受験できる3つの入試を紹介します。

早慶専門スクールSOLAがこれまで指導してきた実績と、各大学の入試要項の分析にもとづいて、3つの入試の選考フロー・出願資格・受験者の特徴を整理し、面接なしで受験するメリットや書類作成の負担の違いも比較します。

この記事を読み終える頃には、自分の強みに近い入試がどれかを判断できる基準が持てるようになります。

ぜひ最後までご覧ください。

総合型選抜の2つのタイプ:実績重視型と学力重視型

総合型選抜の2つのタイプ:実績重視型と学力重視型

総合型選抜は、選考の設計から大きく「実績重視型」と「学力重視型」の二つに分けて捉えることができます。実績重視型は面接が課され、活動実績や志望動機が重視されるタイプです。一方、学力重視型は、面接がない、あるいは比重が小さく、その代わりに学力試験の負荷が大きいタイプです。

今回紹介する3つの入試は、いずれもこの学力重視型に分類され、かつ面接試験のない入試です。実績よりも学力で勝負できるため、1月の共通テストや2月の一般入試に向けて対策をしている受験生とも相性がよい入試だと言えます。

面接なしで受験するメリット

面接なしで受験できることの一番のメリットは、面接対策が不要になる点です。一般入試を軸に考えている受験生にとって、面接対策は英語・国語・社会・数学といった一般入試の勉強とは方向性が重なりません。総合型選抜に面接が加わった途端、一般入試の対策とは別に時間を割く必要が生じ、負担が一気に大きくなってしまいます。

総合型選抜である以上、出願書類の作成はどの入試でも共通して必要になるため、そこは避けられません。だからこそ、面接の有無が実質的な負担の分かれ目になります。一般入試の勉強を圧迫せずに早稲田・慶應合格の可能性を広げたいと考えている人ほど、面接がない入試を選ぶメリットは大きいと言えます。

書類作成の負担にも差がある

今回ご紹介する学力重視型の入試は、いずれも1次選考で出願書類が課されますが、その作成負担は入試によって差があります。

早稲田大学の地域探究・貢献入試は、課題レポート(3000字)と課題レポート別紙と呼ばれる補足資料(A4用紙4ページ分)の提出が必要で、総合型選抜のなかでも書類作成の負担が大きい部類に入ります。

一方、早稲田大学の国際教養学部AO入試は、英語資格スコアと形式的な書類の提出は必要なものの、志望動機を書き込むような実質的な書類がないのが最大の特徴です。慶應義塾大学の文学部自主応募制推薦入試も、受験生自身が作成するのは実質的に自己推薦書(1200字程度)のみで、それ以外は調査書や評価書など学校側が作成する書類で完結します。

1次選考で提出する主な書類

入試

早稲田 地域探究・貢献入試

早稲田 国際教養学部AO入試(4月・国内)

慶應 文学部 自主応募制推薦入試

主な提出書類

・課題レポート(3000字)
・課題レポート別紙(A4×4P)
・調査書

・英語資格スコア
・調査書

・自己推薦書(1200字)
・調査書
・評価書

書類の負担

大

なし

小

つまり、国際教養学部AO入試と文学部自主応募制推薦入試は、面接がないことに加えて、書類作成の負担も総合型選抜のなかでは小さい部類に入ります。一般入試の勉強時間を大きく削らずに、早稲田・慶應合格の可能性を広げられる入試ため、早慶の一般入試を第一志望とする人にとっても、有力な選択肢となります。

①早稲田大学 地域探究・貢献入試

地域探究・貢献入試の三段階選考

地域探究・貢献入試とは?

地域探究・貢献入試は、2018年度より「新思考入試(地域連携型)」の名称で始まった比較的新しい入試です。2024年度に現行の「地域探究・貢献入試」に改称されました。

入試名通り、自分の出身地をはじめとする地域に関する探究活動や貢献活動を実績として提出する入試です。

この入試は、これまで皆さんが地域で取り組んできた活動や経験、または抱いてきた問題意識をふまえ、早稲田大学で主体的に学び、その成果を地域に還元したいという意欲を、丁寧に評価するものです。出身高校や居住地は問いません。地域の多様性を大切にしており、すべての都道府県からの受験を歓迎しています。

(出典:地域探究・貢献入試 入試要項)

対象学部

  • 法学部
  • 教育学部(2026年度入試より)
  • 文学部
  • 文化構想学部
  • 人間科学部
  • スポーツ科学部(2028年度入試で廃止)

選考フロー:私立大では珍しい3段階選考

1次選考(書類審査)

出願日

9月上旬

発表日

10月中旬

2次選考(総合試験)

試験日

10月下旬

発表日

11月中旬

最終選考(共通テスト)

試験日

1月中旬

発表日

2月中旬

地域探究・貢献入試は1次選考・2次選考・最終選考という3段階で構成されています。特徴的なのは、最終選考で共通テストが課せられるという点です。国立大学の総合型選抜では、共通テストが選考に含まれるケースも多いですが、私立大学では珍しい構成となっています。

最終合格発表は、共通テストを課す都合上2月中旬と遅く、早稲田の一般選抜がちょうど実施されている時期と重なります。そのため、いわゆる「年内入試」ではありません。入試時期や共通テストが必須であるという都合上、総合型選抜をメインに考えている受験生が挑戦することはほとんどなく、一般選抜を軸にしている受験生が中心の入試です。

選考内容:最終選考で共通テスト必須

1次選考(書類審査)

課題レポート(3000字)
課題レポート別紙(A4×4P)
調査書

2次選考(総合試験)

総合試験(120分)

最終選考

共通テスト3科目80%以上

1次選考・2次選考・最終選考の3段階で構成される点が、この入試の大きな特徴です。1次選考は書類の作成負担が大きく、3000字の課題レポートに加え、任意提出のA4用紙4ページ分の補足資料「課題レポート別紙」を作成する必要があります。

調査書は学校が発行するもので、評定などが記載されます。受験生自身が用意する必要はありません。2次選考では、120分の記述式試験「総合試験」が課されます。主に1次選考で提出した課題レポートの内容に基づいた出題や、グラフ・表を分析して課題や解決策を提示する出題など、2問構成が基本です。

最終選考は共通テスト3科目で80%以上が合格基準として明確に定められています。学部によって科目は異なりますが、基本的には英語・国語・社会のいわゆる文系3科目で受験でき、英語100点(リーディング50点+リスニング50点)・国語100点・選択科目100点ずつの合計300点満点です。

共通テストの英語・国語はもともとの配点が200点ですが、この入試では100点に圧縮される点が特徴です。この300点満点のうち240点以上、つまり8割を取れば最終選考は合格となります。

地域探究・貢献入試の共通テスト科目:[例] 文化構想学部

試験科目

地域探究・貢献入試

通常の配点

英語(R・L)

100(R50・L50)

200(R100・L100)

国語

100

200

日本史探究 or 世界史探究

100

100

◾️合否判定
2次選考合格者のうち、共通テスト(配点300点)の得点が240点以上の者を合格とします。

(地域探究・貢献入試 入試要項より)

出願資格・実績:地域に関する活動実績のみで出願可

英語資格スコア

不要(提出可)

評定

基準なし(提出要)

活動実績

地域関連の活動

対象者

高3・既卒(2浪以上OK)

他大学との併願

可

合格辞退

可

出願資格の特徴は、英語資格のスコアが不要である点です。英語学習に力を入れてきた実績として英検などのスコアを提出することも可能ですが、必須ではありません。

評定平均に基準はありませんが、調査書での提出は必要です。評定を気にする受験生も多いですが、高い数値は求められません。当スクールの合格者にも、評定3点台や2点台の方が数多くいらっしゃいます。

活動実績は、地域に関連した課外活動が対象です。ボランティア活動、自主的なプロジェクトの立ち上げ、地域イベントへの参加・主催など、出願で取り上げる地域と関連していれば広く認められます。コンクールでの入賞や全国大会での優勝といったハイレベルな実績は必要ありません。

本入試は、現役生だけでなく、浪人生の方でも出願できます。専願制ではなく、他大学や早稲田大学の一般選抜との併願も自由で、合格後の辞退も可能です。この自由度の高さも、地域探究・貢献入試の特徴のひとつです。

受験者の特徴:早稲田志望者だけでなく国立・MARCH志望者も受験

A. 早稲田の一般入試が第一志望の人

この地域探究・貢献入試を受験する人の特徴として、最も多いのが早稲田大学の一般入試を考えている人です。

共通テスト3科目80%で受験できるという点に魅力を感じてこの入試にチャレンジする人が多くなっています。この共通テスト3科目80%という基準は、MARCHのなかでも共通テストのボーダーが低い学部、たとえば法政大学の現代福祉学部や中央大学の文学部などの共通テスト利用入試のボーダーとほぼ同水準です。

つまり、MARCHの下位レベルの大学を抑えられる程度の共通テストの点数があれば、地域探究・貢献入試では最終的に合格できる可能性があるということです。一般入試よりも要求される学力基準が低い点に魅力を感じ、「一般入試だけでは合格に自信が持てない」「これまで取り組んできた探究活動を活かしつつ学力も活かして早稲田を受験したい」という人に選ばれています。

B. 共通テストボーダー80%以上の国立大を志望する人

続いて、旧帝国大学や筑波大学、横浜国立大学など、上位レベルの国立大学を目指している人です。国立志望者はいずれにせよ共通テストを使用するため、最終選考が共通テスト80%という基準になるこの入試と相性がよく、共通テストの対策がそのまま重複するというのがポイントです。

この人たちは早稲田を第一志望としているわけではなく、国立大学を目指しながら、比較的低い基準で早稲田を確保できる選択肢として地域探究・貢献入試を選んでいます。

この入試は併願が可能で、合格後の辞退も自由なため、たとえば第一志望の国立大学や他の私立大学の一般入試に合格した場合は、この入試の合格を辞退することができます。こうした自由度の高さも、国立大学志望者が併願する大きな理由になっています。

C. 上智・MARCHが第一志望&共通テスト80%を狙える人

最後に上智・MARCHの一般入試志望者です。人数は多くありませんが、共通テスト80%という基準であれば、早稲田の一般入試には届かなくても共通テストは得意で80%を狙える、という人が一定数おり、地域探究・貢献入試を通じて早稲田にチャレンジする道が開かれています。

特に上智大を一般入試で目指す人は、共通テストの重要度が高く、いずれにせよ3科目で80%以上が必要であるため、対策の方針が共通するという利点があります。

当スクールのこれまでの生徒様の内訳では、早稲田の一般入試を考えている人がおよそ6割、早稲田を第一志望とする人でみるとおよそ7割、国立大学志望者がおよそ2割、MARCH第一志望の人がおよそ1割、というのが肌感です。早稲田を第一志望としていない人でも、さまざまなパターンの受験生が挑戦できる入試だと言えます。

早稲田・慶應の他の総合型選抜と違い、地域探究・貢献入試は共通テストが選考のポイントになるため、国立志望者が数多く受験してきます。その結果、受験者全体の学力レベルは、他の総合型選抜と比べて高い傾向にあります。とくに国立大学志望者は二次試験対策として英語・国語ともに論述式の対策を重ねているため、2次選考の総合試験(記述式)についても、早稲田第一志望で私立大学専願の受験生より得意なケースが見られます。地域探究・貢献入試は共通テスト80%で合格できるという学力基準がある一方で、受験者のレベル自体は高いというのが、この入試を特徴づける大きなポイントだと言えます。

②早稲田大学 国際教養学部 AO入試(4月・国内選考)

国際教養学部AO入試の構成

国際教養学部 AO入試(4月・国内選考)とは?

国際教養学部 AO入試(4月・国内選考)は、日本国内の高校出身者を対象とした総合型選抜です。海外の高校出身者を対象とした4月入学・国外選考とは別種の入試となります。

いわゆる志望理由書に相当する書類は不要で、英検などの英語資格スコアと2次の筆記審査(Critical Writing+志望理由エッセイ)で合否が決まります。

早稲田大学の掲げる『学問の独立』という理念のもと、高い基礎学力を持ち、かつ知的好奇心が旺盛で、進取の精神に富む、勉学意欲の高い学生を、わが国をはじめ世界から迎え入れる。国際教養学部は以下のような学生の選抜に努める。

  1. 英語で学習する強い意欲を持つ者
  2. 母語以外の言語で効果的に意思疎通できる言語能力、または、その潜在能力を有する者
  3. 複数の学問分野の視点から諸課題に取り組むにあたり、総じて高い学力、または、その潜在能力を有する者
  4. 独自の視点から問題を分析できる批判的能力、または、その潜在能力を有する者
  5. 考えや情報を発表するときに、明確かつ正確にそれらを伝達できる表現能力、または、その潜在能力を有する者
  6. 日本国内外での局所的かつ広域的な、多様な文化、修学の経験を持ち、本学部に多様性をもたらす者
  7. 新しい環境において生活、学習することに挑戦できる社会的・心理的な適応性と柔軟性を有する者
  8. 国際的、比較相対的視点から知的、道徳的問題に取り組む意思と意欲を有する者

(出典:国際教養学部 AO入試(4月・国内選考) 入試要項)

選考フロー:英語資格スコア+筆記審査で決まる

1次選考(書類審査)

出願日

9月上旬

発表日

-

2次選考(筆記審査)

試験日

10月下旬

発表日

11月下旬

国際教養学部のAO入試(4月・国内選考)は1次選考と2次選考に分かれていますが、1次選考の書類審査単独の選抜はなく、1次と2次を合わせて選考されます。1次選考では、英検やIELTS、TOEFL iBTといった英語資格のスコアが重視されます。

これに加えて2次の筆記審査が課され、実質的にはこの2次審査で合否が決まる点が特徴です。

選考内容:Critical Writingと志望理由エッセイで判定

1次選考(書類審査)

英語資格スコア
調査書

2次選考(筆記審査)

Critical Writing(120分)
志望理由エッセイ(30分)

選考内容の中心は筆記審査です。筆記審査は「Critical Writing」と呼ばれる、英語の長文読解とライティング2題を含む総合的な英語試験で、試験時間は120分と非常に長く設定されています。例年、長文読解が3題出題され、長文読解が中心の試験です。

その長文の一部にライティングの設問が含まれ、英作文が2題出題される構成です。長文読解のレベルは英検準1級プラスαのレベルであり、難易度が高いわけではありません。ただし、この入試には帰国子女が多くを占めており、海外経験のないいわゆる「純ジャパ」の方でも英語が得意な受験生が集まる傾向があります。

CEFR基準でB2(英検準1級)以上、なかにはC1(英検1級相当)を持つ受験生も数多くいるため、その英語力に対してCritical Writing自体の難易度は相対的に低いというのが実情です。そのため高得点勝負になりやすく、当スクールの過去の生徒様の状況から、Critical Writingの合格ラインは、ライティングを含めて70〜75%程度と予想されます。

「志望理由に関するエッセイ」は、2026年度入試から新たに導入された日本語の小論文形式の試験です。2025年度以前は志望理由を1次選考の書類として提出する形式でしたが、2026年度からは書類提出に代わり、当日その場で志望理由に関する問題に答える小論文形式に変更されました。

そのため1次選考に志望理由書は含まれませんが、「なぜ国際教養学部で学びたいのか」「入学後にどのような学問に取り組みたいのか」はこの志望理由エッセイのなかで表現することになります。統計データや資料を読み解く一般的な小論文とは異なり、志望理由そのものをテーマにした小論文を書く点が、この試験の特徴です。

出願資格・実績:英語資格スコアが事実上の条件

英語資格スコア

必須(目安B2以上)

評定

基準なし(提出要)

活動実績

不要(国際体験は必要)

対象者

高3・既卒(2浪以上OK)

他大学との併願

可

合格辞退

可

1次選考では英語資格のスコアが必要ですが、明確な基準は公表されていません。ただし、このスコアは一般入試同様、点数化されると考えられるため、実際にこの入試を受ける受験生の多くはCEFR基準でB2以上、英検でいえば準1級以上を最低ラインとして出願しています。

英検1級相当のC1レベルを持つ受験生も数多く、当スクールの生徒様では過半数がC1を取得しており、準1級が最低ラインでした。制度上は英検2級でも出願自体は可能ですが、実質的な基準は準1級以上(B2以上)と考えておくとよいでしょう。

CEFRスコア表

CEFR

英検

IELTS

TOEFL iBT

C2

-

8.5-9.0

-

C1

1級(2600-3299)

7.0-8.0

95-120

B2

準1級(2300-2599)

5.5-6.5

72-94

B1

2級(1950-2299)

4.0-5.0

42-71

出典:「各資格・検定試験とCEFRの対照表」文部科学省

調査書の提出は必要ですが、評定に特定の基準はありません。活動実績も特に求められませんが、2次の志望理由エッセイでは、海外に限らず日本国内での経験も含めた、何らかの国際的な体験に触れることになります。活動実績というほど厳密なものではなく、エッセイのなかで自身の国際体験に触れられれば十分です。

浪人生出願も可能で、他大学との併願や合格後の辞退も認められています。この自由度の高さは、地域探究・貢献入試とよく似ています。

受験者の特徴

A. 帰国子女 or 英語を軸に総合型選抜を考えている人

国際教養学部のAO入試(4月・国内選考)は英語一本で勝負できるため、総合型選抜として英語を武器に受験する人が多いです。

皆さんのイメージ通り、この入試の大部分は帰国子女が占めています。当スクールの生徒様でも7割以上は帰国子女で、残り3割程度が海外経験のない純ジャパで英語が得意な方という構成です。ただし、海外在住経験があるから有利、純ジャパだから不利ということはありません。この入試は事実上英語一本勝負であり、1次の英語資格のスコアと2次のCritical Writing+志望理由エッセイの得点がどれだけ高いかが重要です。

繰り返しになりますが、出願の最低ラインはB2(英検準1級)で、基本的にはC1(英検1級)が前提になると考えておくとよいでしょう。もちろん、英語資格は英検である必要はなく、IELTSやTOEFL iBTでも可能です。特にIELTSの場合、C1相当のスコアを取るのは、英検1級に合格するよりも難易度が低いため、IELTSで出願する方が多いです。

B. 一般入試で国際教養学部を狙っている人

また、一般入試で国際教養学部(共通テスト併用方式)を受験する予定の人が併願で受けてくるケースも多いです。

一般入試で国際教養学部を志望する人は、そもそも英語資格スコアで準1級以上を取得していることが多く、一般入試の独自試験の英語対策の一環として、腕試しとしてこの入試にチャレンジする方も多くいます。志望理由に関するエッセイ(小論文)対策はAO入試向けに必要ですが、一般入試の英語とAO入試のCritical Writingはレベル上共通する部分も多いため、書類作成が事実上不要であるという特徴も相まって、AO入試独自の対策負担が非常に軽い点がメリットです。

③慶應義塾大学 文学部 自主応募制推薦入試

自主応募制推薦入試の流れ

文学部 自主応募制推薦入試とは?

文学部の自主応募制推薦入試は、1994年から実施されている歴史ある総合型選抜です。

「自主応募制による推薦入学者選考」の目的は、一般の学力考査とは異なった視点・尺度を導入することによって、さまざまな資質を持ち、慶應義塾大学文学部への志望動機が明確で意欲的な皆さんに入学への道を開くことにあります。そして、文学部の多彩な教育環境の中で、柔軟で豊かな発想や思考をもとに、ともに新しい文学部を創って行ってほしいというのが私たちの願いです。

この選考の特徴は、まず第一に、皆さんが自らの自由意思によって直接応募できる点にあります。4ページ以降に示す一定の資格を満たしていれば、だれでも自由に応募できます。ただし、慶應義塾大学文学部を第一志望とし、合格した場合、文学部に入学することを確約できる人でなければなりません。

(出典:文学部 自主応募制推薦入試 入試要項)

選考フロー:1次単独の選抜なしの2次重視型

1次選考(書類審査)

出願日

10月中旬

発表日

-

2次選考(筆記審査)

試験日

11月下旬

発表日

11月下旬

文学部の自主応募制推薦入試は、1次選考と2次選考に分かれていますが、早稲田国際教養学部のAO入試同様、1次選考の書類審査単独の選抜はなく、1次と2次を合わせて選考されます。

これに加えて2次では筆記審査(小論文)が課され、2次選考の比重が大きい点が特徴です。

選考内容:書類負荷低め&計180分の小論文

1次選考(書類審査)

自己推薦書(1200字)
調査書
評価書

2次選考(筆記審査)

総合考査Ⅰ(120分)
総合考査Ⅱ(60分)

まず、選考の入り口にあたる1次選考(書類審査)から見ていきます。

この入試では、面接が課されません。出願時に自己推薦書、調査書、評価書を提出しますが、受験生自身がまとめる中心は自己推薦書(約1200字)です。そして、書類だけで受験生を絞り込む一次選考や、その合格発表はありません。つまり、入り口である一次の負担は非常に軽いのが特徴です。

活動実績は求められますが、全国レベルの華々しい実績は必要ありません。この点は、独自の活動を強く問われるSFCのAO入試とは対照的です。

2次選考の試験内容

総合考査Ⅰ

総合考査Ⅱ

試験時間

120分

60分

内容

設問1:傍線部説明問題
設問2:傍線部説明問題
設問3:和文英訳
設問4:和文英訳

テーマ型の小論文

字数の目安

設問1・2は1問あたり240〜300字程度

320〜400字程度

辞書の持ち込み

不可

不可

総合考査Ⅰは、日本語の評論を読んだうえで、二つの力を問う試験です。一つは、傍線部について筆者の主張をふまえて説明する記述問題で、近年の出題では一問あたり240字から300字程度が求められています。もう一つが、本文中の指定された箇所を外国語に訳す問題です。英語、ドイツ語、フランス語、中国語から選べますが、多くの受験生は英語、つまり和文英訳を選びます。

ここで注意したいのは、辞書の持ち込みが認められていないことです。慶應文学部の一般入試の英語では、英和辞典・和英辞典などの辞書の持ち込みが認められていますが、自主応募制推薦入試では持ち込み不可となります。この違いにより、和文英訳の難易度は事実上上がっており、この試験の大きな山場になります。

総合考査Ⅱは、別の課題文を読み、示されたテーマについて自分の考えを述べる小論文です。近年は320字から400字程度でまとめる形式が続いています。

合計180分におよぶ記述中心の試験は、大学入試の小論文型の試験としては、時間・分量ともに負荷が大きい部類です。加えて、小論文と記述による一本勝負であるだけに、その難易度は高くなります。当スクールの指導経験からも、一般入試の小論文以上に入念な対策が必要だと考えています。

逆に言えば、「小論文と和文英訳」さえ仕上げれば、自主応募制推薦入試で慶應文学部の合格が狙えるということです。社会や英語の全範囲をひととおり固める必要がある一般入試とは、負担のかかり方が異なります。しかも、自主応募のために積んだ小論文と和文英訳の対策は、一般入試の小論文や英語にもそのまま生きてきます。むしろ、一般入試にとってよい準備になると考えられます。

出願資格・実績:英語資格スコアが事実上の条件

英語資格スコア

不要(提出可)

評定

全体平均4.1以上

活動実績

高校在学中に力を入れたこと、上げた成果

対象者

現役生のみ

他大学との併願

可(ただし入学辞退不可)

合格辞退

不可(入学確約が条件)

英語資格は不要ですが、1次選考で提出する自己推薦書の補足資料として提出することが可能です。当スクールの生徒様では、英検準1級やIELTS6.0などCEFR基準でB2レベルの英語資格スコアを提出する方が多くいらっしゃいます。

評定4.1という数字は、早慶に限らず他大学も含めて、総合型選抜としては特別に高い水準ではありません。生徒様の実績からも、全体評定4.1以上の条件を満たしてさえいればよく、4.2や4.3などギリギリのラインでも合格する方がいらっしゃいました。結論として、高い評定は不要であると考えています。

もう一つ大切なのが、この入試が専願であるという点です。慶應文学部を第一志望とし、合格した場合には入学することが前提となります。したがって、力試しで気軽に受けるというより、文学部を本気で目指す人に向いた入試だと言えるでしょう。

受験者の特徴

A. 一般入試で慶應文学部を狙っている人(特に女子)

自主応募制推薦入試の受験者で最も多いのが、一般入試で慶應文学部を第一志望としている人です。実質的に小論文一本で勝負できるため、小論文や現代文を得意科目とする人が多くを占めています。

当スクールの生徒様では、以下の動機で受験する方が多くいらっしゃいます。

  • 一般入試でどうせ小論文を使うから、小論文対策も兼ねて受けておきたい
  • 小論文はあまり経験がないけど、現代文は得意だから自分の得意を活かしたい
  • 慶應文が第一志望だから、可能性を増やすためにチャレンジしたい

また、本入試は男子よりも女子生徒の方が多く受験する傾向にあります。2026年度の入試では以下の結果でした。

志願者数

合格者

倍率

390(男子108・女子282)

116(男子18・女子98)

3.4

◾️ 自主応募の男女比率

  • 志願者:男子28%:女子72%
  • 合格者:男子16%:女子84%

この男女比率の偏りが生じている要因として、自主応募制推薦入試に限らず、そもそも総合型選抜自体、女子生徒の方が志願者の比率が高いという点が挙げられます。また志願者の男女比率と比較して、合格者の女子比率が高い理由として、女子の方が男子よりも現代文や小論文が得意なケースが多く、本入試のメインである2次選考がシンプルにハイスコアであると予想されます。

実際、当スクールの生徒様も7割以上が女子であり、日頃の添削指導をしていても、女子の方が小論文や和文英訳のクオリティが高い傾向にあり、合格者の男女比率の差には合点がいきます。

しかし、自主応募制推薦入試は、決して女子優遇の入試ではなく、あくまで現代文や小論文が得意な方が受かるという学力重視型の入試であるため、男女間の格差は気にせず、2次の総合考査対策に力を入れることが合格へのカギです。

B. FIT入試やSFC AO入試含めて慶應の総合型選抜を広く受ける人

本入試は、慶應にこだわりがあり、受験資格を満たす慶應の総合型選抜を手広く検討している人も受験します。

慶應法学部のFIT入試やSFCのAO入試にエントリーできるハイレベルな活動実績を持っている人は、自ずと自主応募制推薦入試の活動実績を満たすことができるため、総合型選抜オンリーで慶應を目指す人にとっては、選択肢の一つになりえます。

自主応募制推薦入試は、学力重視型の試験ではありますが、実質的に小論文一本です。和文英訳で英語力は必要になりますが、慶應の一般入試レベルの長文読解問題が出題されるわけではないため、一般入試で慶應を目指す学力がない人でも、本入試は対策次第で十分に合格が可能です。

学力重視型の総合型選抜は通常、総合型選抜を主軸に考えている人は受験しない傾向にありますが、小論文一本で勝負できる自主応募制入試や、英語一本で勝負できる早稲田国際教養学部AO入試は十分に視野に入ります。

面接なしの総合型選抜 比較表

選考フロー

選考日程

早稲田 地域探究・貢献入試

早稲田 国際教養学部AO入試(4月・国内)

慶應 文学部 自主応募制推薦入試

1次選考

出願日

9月上旬

9月上旬

10月中旬

発表日

10月中旬

-

-

2次選考

試験日

10月下旬

10月下旬

11月下旬

発表日

11月中旬

11月下旬

11月下旬

最終

試験日

1月中旬

-

-

発表日

2月中旬

-

-

選考内容

選考内容

早稲田 地域探究・貢献入試

早稲田 国際教養学部AO入試(4月・国内)

慶應 文学部 自主応募制推薦入試

1次選考

課題レポート(3000字)
課題レポート別紙(A4×4P)
調査書

英語資格スコア
調査書

自己推薦書(1200字)
調査書
評価書

2次選考

総合試験(120分)

Critical Writing(120分)
志望理由エッセイ(30分)

総合考査Ⅰ(120分)
総合考査Ⅱ(60分)

最終選考

共通テスト3科目80%以上

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出願資格

出願資格

早稲田 地域探究・貢献入試

早稲田 国際教養学部AO入試

慶應 文学部 自主応募制推薦入試

英語資格スコア

不要(提出可)

必須(目安B2以上)

不要(提出可)

評定

基準なし(提出要)

基準なし(提出要)

全体平均4.1以上

活動実績

地域関連の活動

不要(国際体験は必要)

高校在学中に力を入れたこと、上げた成果

対象者

高3・既卒(2浪以上OK)

高3・既卒(2浪以上OK)

高3のみ

他大学との併願

可

可

可(ただし入学辞退不可)

合格辞退

可

可

不可(入学確約が条件)

【注意】2027年度から総合型選抜の面接が原則必須化

総合型選抜の面接必須スケジュール

文部科学省の通知により、2027年度入試から総合型選抜・公募制推薦入試では面接(または口頭試問等)による評価が原則必須となります。今回ご紹介した3つの入試は、いずれも現状では面接を課していませんが、この方針を受けて将来的に選考方法が変わる可能性があります。

経過措置により、少なくとも2027年度入試は現行の形で実施される見込みです。直近で受験を考えている方は、これまでどおりの対策を進めていただいて問題ありません。

2028年度以降の受験を検討している方は、入試内容の変更に関する動向をチェックしておきましょう。

早稲田大学の入試変更点

https://www.waseda.jp/inst/admission/undergraduate/change/

慶應義塾大学の入試変更点

https://www.keio.ac.jp/ja/admissions/faculty/examinations/changes/

まとめ

この記事のポイントをまとめると、以下の通りです。

  • 早稲田・慶應の総合型選抜の中には、面接が課されない「学力重視型」の入試が存在する
  • 早稲田 地域探究・貢献入試は書類負担が大きいが共通テスト3科目80%が最終基準、国際教養学部AO入試と慶應 文学部自主応募制推薦入試は書類作成の負担が小さい
  • 面接がないことに加え、書類作成の負担も入試によって差があり、一般選抜の勉強時間への影響も変わってくる
  • 2027年度入試からは総合型選抜の面接が原則必須化される予定だが、経過措置により当面は現行の形で実施される見込み

最初はどの入試が自分に合うか迷うかもしれませんが、それぞれの選考内容や負担の違いを理解すれば、一般選抜の勉強を大きく崩さずに合格の可能性を広げる道が見えてきます。ぜひこの記事を参考に、自分に合った入試を検討してみてください。